イスラエルはキリスト教の聖地ですが、12月にクリスマスの祝いをすることはあまりありません。それはイスラエルの人のほとんどがユダヤ教徒だからです。
しかしユダヤ教にも「ハヌカー」と呼ばれる12月のお祭りがあります。
紀元前165年にそれまでギリシアの支配下にあって弾圧を受けていたユダヤ人がそれに抵抗し、エルサレム神殿を奪還して開放した事を記念する祝日です。
その時神殿内の燭台(メノラー)を灯すためのきれいな油が一壺だけ見つかりました。その油で燭台を灯すと、わずかな量であったため一日しか持たないと思われた火が八日間燃えたので、その奇跡も記念しました。
なのでハヌカーは八日間にわたり行われます。メインのロウソクと八日間分の8本で計9本の火が点けられる「ハヌッキーヤ」と呼ばれる燭台に、一日一本ロウソクに火を灯すのです。そこからハヌカーは光の祭典とも呼ばれています。
他にも家族全員が集まって特別なご馳走を食べたり、「ハヌカー・ソング」と呼ばれる歌やエルサレム奪還の歌を歌ったりします。
子供達はドレイドルという伝統的な遊びをします。ドレイドルは四角推の木製の独楽で、ハヌカー・ゲルトという金貨型のチョコレートを賭けて遊びます。
ハヌカーでは奇跡の油にちなんで、油を使った料理が必ず作られます。ジャガイモをすり潰してフライパンで揚げたポテトパンケーキのようなラトケスや、クレープにカッテージチーズやジャムを加えた揚げ物であるブリンツ等があります。
特にハヌカーの時にしか食べられないものとしてスフガニアというお菓子があります。パンの中にジャムを入れて油で揚げ、チョコやクリーム等でトッピングされたドーナツや揚げパンのようなものです。
最近ではクリスマスのように子供に「ハヌカー・プレゼント」を贈ったり「ハヌカー・ブッシュ」という常緑樹を飾るそうですが、伝統的なユダヤ教の風習ではないと好ましく思っていないユダヤ教の正統派の人が多いそうです。