今回は、主に江戸時代の古布に刺し子やパッチワークを施し、独自の世界観をタペストリーとして蘇らせる刺子作家
『渡邉すみゑ』さんをご紹介します。
■ 古布の趣を現代に
富士宮市万野原新田で骨董販売を営む渡邉さんは、約三十年前に、火鉢を包んでいた風呂敷に惹かれました。それが
『筒描き染め』との出逢いでした。その魅力の虜になった渡邉さんは、筒描き染めの古布を集め、刺し子による補強や、
痛みのある箇所へのパッチワークを施すことにより、唯一無二のタペストリーとして仕立て直すようになりました。
今では、約20点程の作品があり、個展も開催し、大変な好評を得ています。
■ 筒描き
筒描き染めとは、染色の糊置き法の一つで、円錐形の筒に防染糊を入れ、糊を絞り出して模様を描くものです。
江戸時代の中期以降に、全国の紺屋にて木綿布に染められました。婚礼の際にあつらえる事が多く、嫁ぎゆく娘の調度品として、
松竹梅や鶴亀などの吉祥文様が描かれています。素朴な技と、大らかでのびのびとした文様の躍動感と流麗さは、
日本民画と言うべき趣があります。
■ 展望
一針一針心をこめた筒描き染めへの刺し子は、個展を開催することで、自分自身の愉しみだけでなく、多くの方の琴線に触れたようで、
大変励みになりました。今後も古布の新たな愉しみを追求し、会社やご家庭でのタペストリーとしてのお声がけにも対応できるような作
品を手がけていきたいです。
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渡邉