前回は、お茶碗一杯のたねの話をしました。
たねは私たちに豊富な恵みを与えてくれる地球からのギフトです。
能登半島の地震で多くの方の命が失われました。町自体の復旧の目処も立たない状況の中、故郷を離れる方も多いかと思います。Seedおじさんは2018年9月に発生した北海道胆振東部地震(最大震度7)で山崩れに家ごと埋まり帰らぬ人となった、きぬえおばあちゃんのかぼちゃのたねの事を思い出しました。(連載第5話に掲載。数粒のたねが、今では数百粒にまで増えています)
能登の地域のたねたちは大丈夫だろうか・・・。能登のお祭りや仏事・神事では昔からの伝統料理が食されており、これらの料理には庭先で作られた能登在来種の野菜が当たり前のように使われてきました。菜葉、瓜、かぼちゃ、大根、牛蒡、なす、ネギ、じゃがいも、大豆など多くの在来種が今も繋がれています。なかには、北海道のきぬえおばあちゃんのかぼちゃのように名も無いたねが、ひっそりと地域の方々で繋がれていたりします。
今回の震災で亡くなってしまった方や、離農や移住せざるを得ない方々が大切に繋いできたたねが存在しているはずです。こんな時、地域に小さなシードバンクが存在し、全国の小さなシードバンク同士が繋がり合っていたら、そういうたねを救済する事ができるのにと思うのです。
たねを一時的に他の地域のシードバンクに避難させて繋ぎ続け、被災地が復興したらそのたねを里帰りさせる、命のたねのリレーができる体制を実現したい。そう思うのです。
在来種や地域のたねは、その地域の食文化、歴史、祈りや想い、心と共に存在します。たねが存在していれば、またその地域にその全てと共に蘇生する事ができるのです。本当の意味での復興とはそういう事だと思います。もし、能登半島に家族や親戚、お友達や知り合いの農家が居たら、絶滅してしまいそうなたねが無いか聞いていただけないでしょうか。あればSeedおじさんが可能な限りそのたねを未来へ繋げ、里帰りさせます。
もうすぐ春です。あなたも地域のたねを蒔いて未来へ繋げませんか。