たねにはストーリーがあるということで、前回は北海道のおばあちゃんのたねの話をしました。
第4話でもお話ししましたが、昔からその地域で世代を超えて繋がれてきた昔ながらの作物を在来作物と言います。静岡県静岡市の山間地帯はオクシズ(奥静岡エリアの通称)と呼ばれていますが、その中の井川地区では今も様々な在来作物が守り繋がれています。井川の在来じゃがいも「おらんど」はオランダから日本に伝えられたから「おらんど」。 江戸時代から繋がれていたと考えられています。皮の色が赤、紫、白と3種類あり、おでんに入れると美味しいそうです。在来蕎麦も有名で焼畑という伝統的農法と共に守られています。驚くほどに香り高く、甘みの強い蕎麦と言われています。
他にも様々な雑穀や、里芋、落花生、らっきょう、にんにく、きゅうり、お茶などがあります。
今年4月に開催された、静岡大学の稲垣栄洋教授の在来作物のトークイベントでは、在来作物の魅力の話
を聞いたり実際に見たり試食したり
することができました。
その土地で、その地域の伝統的な農法で、その地域の伝統的な食文化と共に人々に守られているのが在来作物の本質であり、このことが大切であると思います。そのイベントで5年前にお会いした事のある、井川地区で在来作物を守り続ける方々が握ってくれた雑穀のおにぎりは奥深く、在来作物を愛する心の味がしました。彼女たちが今もお元気で活躍されていることを嬉しく思うと共に、今は井川地区内だけで繋がれているたねを未来へ繋いでゆくにはどうしたら良いのか考え行動していく必要性も感じています。
稲垣教授の話によれば、静岡県には70品目250種類以上の在来作物が残っているとのことで、その内の120種類以上がオクシズにあるそうです。その中でもたった一軒でしか栽培されていないものや、ほんの数株しか作られていないものもある様です。消滅してしまえば、二度と復元することができないのが在来作物のたねです。私たちの記憶から消えてしまわぬ様に、オクシズへ在来作物をめぐる旅をしてみませんか?
他にも県内の在来種の情報を探しております。シードバンクのSeedおじさんまでお知らせください。