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般若山 安養寺【2011年2月号No.95】


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■ 略歴

 狸が僧に化けて修行したという伝説が残る般若山安養寺は、『狸寺』の通称で親しまれています。開創は七八三年とされ、一二三一年に臨済宗、一五二八年には曹洞宗に改められました。戦国期の文書によると、当時の地頭であった富士図書助から、田畑四貫百文や山屋敷などを寄進されたそうです。今川基元・氏真からも保護を受け、一五六二年には、軍隊の乱暴から免れるための立て札である『制札』を下され、一五六七年には祈願所に指定されました。一五九〇年、豊臣秀吉からは朱印地七石を安堵され、その後明治維新まで継続しました。

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■ 狸寺

 江戸期に記された『駿河記』には、次のようにあります。昔、古狸が雲水僧に化けて修行していた。寺の飼い犬にいつも吠えられていた雲水僧は、犬を恐れて寺を後にした。およそ十年後に犬が死ぬと、再度寺に戻ってきました。面相が以前と変わらないことを怪んだ衆人は「狸の化身では?」と噂しました。これを聞いた雲水僧は、手紙を残して再び寺を去ったのです。

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■ 末寺

 明治以降の廃仏棄釈により、七ヶ寺あった末寺は現在、富士市の宗清寺・曽我寺のみとなっています。

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