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パキスタン・イスラム共和国


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■ モヘンジョ‐ダロ

 フンザを南下し、インダス文明最大級の都市遺跡として知られる『モヘンジョ‐ダロ』に向かった。モヘンジョ‐ダロは、廃虚としての名であり、現地の言葉で『死の丘』を意味する。紀元前二五〇〇〜一八〇〇年にかけて繁栄したと考えられているが、都市名をひも解くヒントすらわかっていない。

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■ 計画都市

 焼成煉瓦で敷き詰められた直線道路が東西南北に伸びる遺跡は、沐浴施設・二階建て住宅・井戸など、煉瓦造りの大規模な構造物が並び、しかもそれらは緻密に計画されて配置されており、碁盤の目のように区画されていた。驚く事に、上下水道も整備済み。四千五百年以上も前に作られた都市は、水を巧みに利用した高度な計画都市であったのだ。四万人と推測される人々は、インダス川の水を利用し、農業も盛んに行っていたそうだ。

■ 落胆

 世界文化遺産としても登録されている『モヘンジョ‐ダロ』だが、そのずさんな管理体制に落胆した。入場料も必要なければ、ガイドもいない。柵すらない有様。管理どころか、完全に放置されているのだ。当然のごとく宿泊施設などあるわけもない。途方に暮れていると、現地で知り合った大学生が遺跡脇にある学者が滞在する宿舎を紹介してくれ、運良く泊まらせてもらうことになった。

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■ 誓い

 次はどこに行こうかと思案していると、もうすぐ学校が始まることに気がついた。寄り道をしすぎたせいか、当初の計画から大幅に遅れていたのだ。このままアジア横断を続けるべきか、大学に戻るかを悩んだあげく、帰国する決心をした。
 モヘンジョ‐ダロからカラチ空港に到着、翌日の便で日本へ帰国する。ダメ元で、空港のホテルに泊まらせてくれないかと頼んだが、答えはもちろん『NO』だった。諦めの悪い僕は何度も何度もお願いをした。すると、見兼ねた男性スタッフが『OK』を出してくれ、最後の夜は、ホットシャワー、夕飯付きのゴージャスな一夜となった。しかも無料で。翌日、空から地上を見下ろすと、この旅の思い出が走馬灯のように駆け巡った。『アジア横断の続き』を心に誓うと、言いようのない思いが込み上げ、熱くなった目頭から溢れ出た。

 多くの人と出会い、多くのものを見る中で『なぜ旅をするのか』という答えを見つけた。だから僕は『旅』を続ける。今までも、これからも…