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紛争の傷跡残る『ボスニア・ヘルツェゴヴィナ』【2015年12月号No.153】

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■ ボスニアへ

 ドブロブニクからサラエボに行くことにした。サラエボは、一九八四年に冬期オリンピックが開催された地で、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ(旧ユーゴスラビア)の首都だ。バスに乗り込み出発を待っていると、日本人らしき男性が乗り込んで来た。「日本人ですか?」と声をかけられ、同席することになった。旅先での日本人との出会いは、無性に嬉しい。日本人というだけで言い様のない安心感が生まれる。男性の名は沖田さん、サラエボまでの道中はいつもより楽しい旅となった。

■ サラエボ

 サラエボに到着し、まず向かったのは宿泊施設案内所。案内所では、四人の相部屋を勧められた。ちょうど案内所で宿を探していたオーストラリア人の二人組みと、僕ら二人組みでシェアをすれば割安だという訳だ。沖田さんと僕はアイコンタクトで即決し、宿に荷物を置くと、空腹を満たすために街に出た。

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■ 傷跡

 街には至る所に銃痕が残り、紛争の凄まじさを物語っていた。「ボスニアでは宗教と戦争の話は禁句」と聞いていたが、この光景を見たら、誰も口にする人はいないだろう。冬期五輪スケートリンクとして使用された施設も、かつての栄光の面影はなく、まるで廃虚のようにひっそりとしていた。市街を見渡せる『サラエボの丘』には、真新しい集団墓地がある。多くの墓石には、若くして亡くなった事を告げる文字が刻まれており、紛争の悲惨さと、問題の深刻さがひしひしと伝わってくる。

■ 食事情
シチューがボスニア料理の基本で、パンはだいたい無料で付く。店員が、ランチなら「サハとサラダで十分だ」というので、それにビールを付けて注文。ビーフシチューのようなメインディッシュは、びっくりする程美味しかった。カフェも多くあり、トルココーヒーが手軽に飲める。

 目立った見どころはないが、旅行とは別の意味で『一度は訪れるべき土地』かもしれない。

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