■ 過去最悪
平成24年度に行われた『国民生活基礎調査』によると、日本人の約6人に1人が貧困ということが分かりました。また、18歳未満の子どもを対象にした『子どもの貧困率』が16・3％となり、過去最悪を更新したのです。日本は、ワーキングプアが多く、母子世帯や単身世帯、高齢者世帯を始めとする特定世帯の貧困率が突出して高いことが特徴です。特に、母子世帯の貧困率が、他の国と比べても高い結果となっています。これを受けて政府は、『子どもの貧困対策大綱』を初めて策定しました。親から子への貧困の連鎖を防ぐため、教育費の負担軽減や、親の就労支援などに乗り出す方針です。
■ 親から子へ
貧困は学力や健康にも大きく関係していきます。これはあくまでもデータによるものですが、親の年収が多いと子どもの学力も高く、年収が少ないと学力も低いという結果になっています。同じように健康状態も親の収入によって比例しています。親が子に投資するお金がないと、進学をあきらめることになるなど、負のスパイラルから抜け出しにくくなるのです。
また、貧困状態が与える状況で最も激しいのが、子供への虐待です。平成6年は1961件でしたが、平成２4年には、66807件と激増しています。身も心も傷ついた子供が大人になり、親と同じ過ちを繰り返す…そんな悲劇が起きないために、大人たちが心のケアをし、生活や学習をサポートしなければなりません。「自分は必要な存在」と思える子供が、一人でも増えることを願います。
ワーキングプアとは…
●正社員、もしくは正社員並みに働いても、生活維持が困難、生活保護水準以下の収入しか得られない就労層のこと。
