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芭蕉天神宮 2007年2月号


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 芝川町内房の山深いところに、大晦日という地名の集落がある。「おおみそか」ではなく「おおづもり」と読む。大晦日には、後醍醐天皇の治世にこの地で亡くなった久我大納言を祀った『芭蕉天神宮』があります。知恵と学問、厄除けの神様で『馬上天神』と呼ばれていましたが、境内に芭蕉が生い茂っていたことから芭蕉天神と改められたそうです。毎年二月の第一日曜日には『芭蕉天神祭』が開催されます。祭の時には屋台が立ち並び、普段静かな神社も賑やかになります。かつては臨時列車も出る程で、十万人の人で賑わったそうです。

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 大晦日は、由比で作る塩を富士宮へ運ぶ街道の中間にあり、江戸時代に栄えた。村の繁栄ぶりは、芭蕉天神宮の本殿に残る海老紅梁(えびこうりょう)を見ればすぐ判る。海老紅梁は、草花などを透かし彫りにして海老のように曲がっているのが特徴だが、芭蕉天神宮のものはなんと、総透かし彫りだ。さらに柱の面は精緻な彫刻で飾られている。寺社建築で、ここまで豪華な装飾は、全国的に見てもまずないだろう。

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 芭蕉天神宮には、印象深いものがたくさんある。まず目に付くのが『狛犬』で、通常狛犬と言ったら恐いイメージがあるが、ここのは違う。笑っているように見える。しかも、何匹も子供を連れているではないか…そして、本殿の脇に座っていて口の部分が赤くて不気味な奴、これも狛犬なのかなあ?荘厳な建物の守り神は表情に富み、いかにも幸せを運んで来てくれそうだ。祀ってある馬の神様はなんとワラジを履いている。手水舎の後ろには、育ちに育った芭蕉の木がたくさん生えていた。芭蕉が結実するのは稀だと言われるが、天神効果なのか皆結実していた。芭蕉天神宮のことをいろいろ教えてくれた大晦日の望月さんは、最後にこう語ってくれた。

「芭蕉の実はまずくて食べられないよ」と…

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■芭蕉天神祭
 2007年2月4日(日)

■問い合わせ先
 芝川町農林商工課 ☎0544-65-2806