富士宮市、フイルムパークグラウンドの脇を南に進んだ静かな山の中に、周囲64m、高さ8mほどの石塚があります。途中から舗装のされていない道を進みますので多少不安になりますが、しばらくすると「摩利支天塚」の小さな看板が現れますので、ご安心ください。ということで、今回は謎の史跡『摩利支天塚』を紹介します。
■ 由来
この塚は、沼久保小松原の佐野幸左衛門という人が「南無摩利支天」と唱えて巨石を運んで積んだことから『摩利支天塚』と称されているという内容が、正面石碑に記されています。
■ 南無摩利支天
塚の石は、佐野幸左衛門が一人で集めたといわれており、大石も『南無摩利支天』と唱えると動いたということです。地元ではこの塚を『石塚』と呼び、馬頭観音とともに大切に祀っています。石碑の傍らには、馬の蹄鉄が奉納されています。
■ 摩利支天
摩利支天は陽炎(かげろう)を神格化したもので、日本では中世以降に護身・蓄財などの神として信仰を集め、特に武士の間に摩利支天信仰がありました。また、禅宗や日蓮宗でも護法善神として重視されています。