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セルビア・モンテネグロ【2016年1月号No.154】

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■ セルビア・モンテネグロ

 サラエボからベオグラード行きのバスに乗った。ベオグラードは、セルビア・モンテネグロの首都だ。「首都と言っても、サラエボもベオグラードも大差ないだろう」などと、勝手に想像しながら眠りについた。ちなみに、二〇〇三年、ユーゴスラビア連邦共和国が改称して『セルビア・モンテネグロ』となり、二〇〇六年には、セルビアとモンテネグロがそれぞれ独立している。

■ ベオグラード

 目覚めると、立ち並ぶビルが目前に広がっていた。ベオグラードは、僕の想像とはまるで違う近代的な都市だった。バスターミナルも巨大で、何十台ものバスが並んでいる。NATOの空爆により壊滅的な被害を受けた街という印象が強かったが、駅周辺を見る限り、戦争の傷跡は見られない。

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■ 穴の空いたビル

 近くのユースホステルに宿を決め、『空爆通り』と呼ばれるクネズ・ミロシュ通りに向かった。猛攻撃の対象となった空爆通りには官公庁が集中し、崩れかけたビルが残っていた。サラエボでも穴の空いたビルはあったが、それは銃弾の跡。ここでのビルの穴は、壁を貫く大きな穴。付近のビルの壁も、見事に吹っ飛んでいる。爆撃で破壊された建物が、瓦礫の山として放置されている様に、言葉にならない衝撃を受けた。この空爆による死傷者の四割が子どもだったそうだ。

■ ドナウのほとり
街の中心にはドナウ川が流れていて、とても平和で穏やかな雰囲気だ。そのほとりには公園や城・修道院などがあり、家族連れやカップルの憩いの場所になっている。『美しく青きドナウ』を口ずさみながら城壁づたいに歩いて行くと、大砲や戦車が立ち並ぶエリアが姿を現した。なんと、オープン軍事ミュージアムになっている。せっかくだから全部をくまなく見学。

 かつて『ヨーロッパの火薬庫』と呼ばれていたバルカン半島は、争いと平和の狭間で、どんな未来を築き上げて行くのだろう。

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