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「たねから見える私たちの未来」 No7 244


2023-07

 第6話ではオクシズの在来作物についてお伝えしました。
 
 昔からその地域で世代を越えて繋がれてきた作物を在来作物と言いますが、今回は富士宮市の在来作物を紹介します。第4話で柚野地区にある『100年インゲン』の話をしましたが、他にもあるのです。

 白糸の滝がある白糸地区には、『はんじろう』と呼ばれている在来きゅうりがあります。スーパーで売られているきゅうりは交配種で、細長く緑の濃い20cm程のものですが、『はんじろう』はずんぐりした寸胴型で15cm程の形状です。色は若草色で下半分が白っぽい色になるので、半白から『はんじろう』の愛称になったのでしょう。青臭くなくすっきりとした味で歯触りが良く、浅漬けや糠漬けに最適の美味しいきゅうりです。地区の年配の方々には「懐かしいねぇ、まだあったのね」と言われ、今では絶滅危惧種です。収穫期が短く、収量が交配種より劣ることや、繋ぐことが忘れ去られた結果かもしれません。

 白糸地域には他にも、『白糸とう
がらし』の名を持つ、強くかつ爽や
かな辛味のとうがらしがあります。品質を守りたいとの栽培農家の想いから名前は商標登録され、一味とうがらしや辣?などの加工品として人気を呼んでいます。

 他にも、『和尚オクラ』と呼ばれるオクラがあります。富士宮の山寺の和尚さんがひっそり繋いできたオクラです。黄緑色の多角形で大きくなっても肉質が柔らかい大変美味しいオクラです。昔は、たねは神聖なものとして神に祀ったり、お寺や神社でたねの交換をしていました。また、いのちを繋ぐ糧として、結婚や就職などで故郷を離れる際に親から手渡されたという歴史もあります。たねは買うものではなかったのです。
京都に京野菜として在来作物が多く存在するのは、古くからお寺が多く存在し、食文化と共にお寺の近隣で育て繋ぎ続けてこられたからだと言われています。今でも、各地の古いお寺の近辺で在来作物がひっそりと繋がれていたりします。

 みなさんも昔から繋がれている在来作物を探してその魅力を未来へ繋げてみませんか。もし見つけたらSeedBankのSeedおじさんにご一報下さいね。