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「たねから見える私たちの未来」 No3 240


2023-03

 第2話では、交配種と在来種や固定種の特性のお話をしました。今回は、在来種と固定種のたねが持つ知恵のお話をします。

 在来種と固定種のたねは発芽や成長がバラつく性質が見られますが、これには理由があるのです。たねが蒔かれると、最初に全体の約2割が発芽してきます。そして、暫くすると約6割が発芽します。残りの約2割はその後発芽するか発芽しないでいたりします。これを私たちは2・6・2の原理と呼んでいます。最初の約2割が発芽をした後、雨が降らない日が続いたり、虫に食べられたり、何かしらの原因でダメになってしまっても、残りがまだ生きています。次の約6割が何かしらの原因で壊滅状態になっても、最後の約2割がまだ生存しているのです。これは、たねが自らの命を未来へ繋ぐ自然界の見事な知恵なのです。

 成長も均一では無く、花を咲かせてたねを実らせるタイミングが少しずつ違うのもリスク分散を考えているのでしょう。長い期間収穫を楽し
めるので家庭菜園にはおすすめです。

 他にも知恵があります。たねは自分の育った環境を記憶するのです。
どんな気候だったのか、土の状態はどうであったか、どのような人が育ててくれたのか。全てをその小さなタイムカプセルに記憶するのです。そして次の年もより強く生きて命を繋げる為に環境に順応していくのです。たねを繋いでいると、あなたとたねとの間に最適な関係が築かれ、たねが家族の一員のようになってくるのを感じることができます。土づくりや栽培の方法に興味が集中しがちですが、思考で何とかしようとしなくても実はたねが解決してくれることもあるのです。自然農を実践する人々が自家採種にこだわるのもわかりますよね。

 ところで、自然農の方々はたねを蒔く時、「たねを降ろす」と言います。命のたねを大地に降ろしてその恵みの一部をいただき命を繋げ、そしてたねも未来へ繋げるのです。そうやって先人たちがたねを繋いできてくれたおかげで私たちの現代の食は豊
 
かになってきたのですね。穫もバラバラになるという、生き物としては自然な特性なのだけれども、農家さんにとっては都合が悪くなってしまったわけです。現代農業では生産性と効率性が求められるので、そのなかで生き残ることが難しくなってしまったのです。しかし、在来種や固定種には、交配種には無い魅力や、私たちに大切なことを教えてくれる何かがあるのです。(次回へ続く)