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「たねから見える私たちの未来」No09-246


2023-09


 現代の巨大なフードシステムのニーズに合うように、たね企業が改良したたねのおかげで、私たちは安定して何処でも同じように同じような食べものを食べることができています。一見豊さに溢れているように見えます。しかし、それを支えるたね企業のたねには企業の権利(育成者権)というものが付いてきます。企業が何年もの時間とコストをかけて改良したたねですから正当な権利かもしれません。そしてそのたねの殆どが一代交配種(F1)でたねを繋げることができず、その殆どが海外で採種されているというのが現実です。

 実は、私たちの食を支える農家の大半は、たねを持っていません。たね企業から購入しています。つまり、私たちの食と命は、たね企業の権利に依存し、海外採種に依存しているのです。もし、日本のたね企業が海外の多国籍企業に吸収合併されたらどうなると思いますか?

その多国籍企業の戦略で、遺伝子操作されたたねばかりになったらどうしますか?もし、災害や気候危機、戦争などで国際物流停止による世界
の餓死者が日本に集中するとも言われています。

東京大学の鈴木宣弘教授の著書「世界で最初に飢えるのは日本」が昨年出版されましたが、この本に書かれている事実はみなさんの足元にある、すぐにでも起こりうる危機です。頑張って働いてお金を稼いでも、お金では食糧は何も買えなくなる事態が起きるということです。

 もし、みなさんの地域の農家が、たね企業の権利を持たない、自由にたねが繋げられる事のできる在来種や固定種のたねを自家採種していて、各地にシードバンクが存在していたら、そしてその地域のたねの循環の中に生きていたら、私たちの食と日本の景色はガラリと変わり、私たちが餓死することは決してないでしょう。

 本当の豊かさとは持続可能な自由なたねの循環の中に存在するのだと思います。状況は待った無しです。私たちが日頃食べているものがどのようなたねからできているのかを知る事から始めませんか。