■ 革命に巻き込まれたかも？

　２０１０年12月18日に始まったチュニジアでの暴動によるジャスミン革命からアラブ世界に波及した『アラブの春』は、前例のない大規模反政府デモや抗議活動を主とした騒乱となったた。僕は、そのわずか10日前に新婚旅行でチュニジアを訪れていた。一歩間違えれば、歴史的騒乱に巻き込まれていた訳だが、ギリギリセーフで難を逃れた。自分たちの幸運さには、つくづく感謝している。

■ お・も・て・な・し

　ローマでのトランジットを経て、チュニジアの首都チュニスに降り立った時はは既に夜中だった。新婚旅行という事もあり、安全性を重視してホテルの予約はとってあったのだが、空港を出た瞬間から流しのタクシー運転手たちに囲まれた。何とか正規らしきタクシーに乗り込んだが、人の気配のないような道を走り続け、一向にホテルに着く様子はない。拉致られたのでは？と不安が募る中、ようやく怪しげなホテルにたどり着いた。
　部屋に入ると、部屋中が赤いバラの花ビラでデコレーションされており、ホテルの怪しげな外観からは想像のできないほどの『お・も・て・な・し』に感激した。ここまでの道中は、新婚旅行にチュニジアを選んでしまった事を少し後悔していたのだが、やっと安堵することができた。

■ カルタゴ

　翌日、日本語の話せるガイドを頼み、世界遺産として知られるカルタゴ遺跡を案内してもらった。カルタゴは、チュニジアの首都チュニスの郊外、地中海を望む遺跡で、紀元前９世紀、海洋民族のフェニキア人がこの地に都市国家を築いた事が始まり。その後、地中海貿易を独占し覇権を握るが、勢力を拡大してきたローマと衝突。カルタゴの名将ハンニバルは、象を連れてローマを攻めたが、攻略は出来ず、紀元前１４６年、カルタゴは、ローマ軍によって壊滅させられてしまった。現在カルタゴに残る遺跡のほとんどは、その後ローマが同じ地に作ったものだそうだ。遺跡の眼下に広がる地中海を眺めていると、一瞬、当時の様子が見えた気がした。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　次号につづく…