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国指定史跡『韮山反射炉』~日本から世界へ~【2015年7月号No.148】

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 今回は、ちょっと足をのばして韮山へ。世界文化遺産の登録勧告を受けて話題となっている『韮山反射炉』。本誌が出る頃には、登録の可否が決定していると思われます。今回は『韮山反射炉』の魅力をご紹介します。

■ 反射炉とは?

 反射炉とは何かをご存知ですか?反射炉とは、大砲を作るため、銑鉄(せんてつ)を溶かして優良な鉄を生産する為の炉です。銑鉄を溶かすためには、千数百度の高温が必要ですが、反射炉の場合、溶解室の天井部分が浅いドーム形となっていて、そこに熱を反射させ、銑鉄に集中させることで高い温度環境を作ることを実現する構造となっています。反射熱を利用して高温を作り出す炉ということで『反射炉』と名付けられました。

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■ 反射炉築造にあたり

 韮山反射炉は、1853年のペリー来航を受けて、当時の代官であった江川英龍により建言され、幕府直営の反射炉として築造が決定されました。当初は伊豆下田にて築造開始しましたが、下田に入港したペリー艦隊の侵入を防ぐ為、築造場所の変更が決まり周囲が山で囲まれている点や近くに川があり運送面で適している点などから韮山に変更されました。反射炉建設に寄与した江川英龍は完成した反射炉を見ることなく世を去りましたが、息子である英敏が後を継ぎ、反射炉完成まで尽力しました。韮山の発展に貢献した江川家の住宅『江川邸』は、国の重要文化財に登録され観光名所として開放されています。反射炉を訪れた際は併せて、江川邸にも足をお運び下さい。

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