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アジア横断『ヴァラナシ(ベナレス)』【2014年10月号No.139


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■ ヴァラナシへ

 ラサからカトマンズに戻り、次はインドへ向かうことにした。行き先はヒンドゥー教の聖地『ヴァラナシ
(ベナレス)』だ。悪路の中の約三十時間にもおよぶバス移動は、まさに生き地獄で、乗客の多くが車酔いにより嘔吐を繰り返す。カレーと胃液の混ざった臭いに包まれながら、ようやく目的地に到着した。

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■ 悪路を走り続ける

 バスの旅と言うと聞こえはいいかもしれないが、そんなに甘いものではなかった。オンボロバスで、断崖絶壁の上の悪路をひた走る過酷な旅だ。しかし、この旅はタケちゃんと一緒だったため、アンナプルナで味わったような『絶望的な孤独感』はなかった。重要事項は、防寒対策と高山病対策といったところだろう。

■ 混沌

 コレというはっきりした理由はないが、ヴァラナシの雰囲気に呑まれた。建物にはじまり、見るもの全てが今まで経験したものとは違い、自分がどこにいるのかもわからなくなってしまう程の衝撃を受けた。おびただしい数の物売りを振り切るため、表通りから一歩入ると狭い路地は迷路のようになっていた。人々が行き交い、牛も行き交う。牛は、聖なる動物として街の至る所で自由に生きているのだ。街のすぐ近くに流れる聖なる川『ガンジス』では、人々の生活のがごちゃ混ぜになっている。洗濯場や沐浴場のすぐ隣には死体焼き場。流れる亡骸を横目に牛の体を流している人が目に映る。人も動物も、貧しさも豊かさも、混沌とした中に存在している。それがインドのインドたる所以なのかもしれない。

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■ ガンジスクルーズ

 さすがに泳ぐ気にはなれなかったが、ガンジスクルーズで、聖なる川に身を委ねた。喧噪から逃れ、川から眺める街は、猥雑さと活気に溢れていた。その様子を冷静に見ていると、自分と神とが重なった気がした。気をよくした僕は、翌日朝一番のガンジスクルーズを再度予約。街に戻り、『バナナラッシー』を一気に飲み干した。その晩から、激しい腹痛に襲われ、朝一のクルージングは見逃してしまった。その時に飲んだ『真っピンク』の錠剤は、今でも記念に持っている。

■ タージマハル

 ヴァラナシを後にし、電車で、アーグラー城、タージマハルを見に行った。ヴァラナシの衝撃が強すぎたせいか、感動はそれ程でもなかったが、入場料の高さには驚いた。ラクダにまたがり記念撮影をすると、次の目的地が定まった。「デリーだ。次はデリーを目指そう!」