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初めての一人旅『マレーシア』【2017年8月号No.173】


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■ ドミトリーの恐怖

 コタバルの長距離バスターミナルで、ペナン島行きのチケットを買った。ペナン島では『ドミトリー』と呼ばれる、見知らぬ人との相部屋を前提とする安宿にチャレンジすることにした。見知らぬ国々の人と出会うという期待に、胸を膨らませていた。

 ラウンジで、タイ人男性に声をかけられ、彼の部屋に案内されたが、どうも様子がおかしい。どうやら彼はゲイらしく、僕に色目を使いながらしきりにキスを迫ってくる。僕の頭は真っ白になり、必死で宿の外に逃げ出した。気を取り直して町をふらつき、地元感溢れる食堂で夕食を食べた。

 宿に戻ると、部屋にはフランス人の二人組と、ドイツ人が話しをしていた。僕も会話に加わり、楽しい一時を経て床に就いた。真夜中、突然の大声で目が覚めた。隣のドイツ人が、叫びながら部屋中を歩き回っているのだ。フランス人はいびきをかいて熟睡を決め込んでいるが、僕は恐怖で身動きも取れず、寝た振りをするしか方法がない。薄目を開け、祈るような気持ちで様子を伺っていると、彼が僕の目の前で立ち止まり、指を指して声を張り上げた。心臓が張り裂けそうな思いで震えていると、また歩き出した。変な儀式は明け方まで続き、ようやく彼も力尽きた様子でベッドに倒れ込んだ。今考えれば、ドラッグでもやっていたのだろう…

■ ペナン島の女神

 彼が寝静まった頃合いを見計らって宿を抜け出し、タクシーで治安の良いリゾート地に向かった。ところが、降りた場所はリゾート地の端で、中心地に向かってひたすら歩くはめになった。途中、炎上している車に遭遇するハプニングもあり、単調な海岸沿いでの小さな物語を垣間見た。

 ビーチを一巡して市街地へ戻ったが、宿に帰る気にもなれず町を彷徨っていた。すると、シンガポールで知り合った日本人女性二人組に背後から声を掛けられた。思いがけない再会に、歓喜の声を上げてしまった。近くのカフェで、ペナンでの災難話を伝えると、質の良い個室の安宿を紹介してくれた。安堵感に包まれながらも一刻も早い離島を誓いベッドに入った事は言うまでもない。

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